春の陽気も相俟って久々に心から釣りを堪能できる良い時間を過ごせましたので
皆様にもおすそ分けできればと思います
ユキヤナギが咲き初めていました |
ユキヤナギが満開に咲き始めるといよいよ春本番という感じがしますね
興味はあったけれど
今回行った釣り場は、以前から行ってみたいと思いつつ行かなかった場所
近所といえなくもいない場所だが、アクセスが非常に悪いので敬遠していたポイントである。午後に少し時間ができたので思い切って行ってみることにした。
春の陽気を感じつつ自転車をえっちらおっちら漕いで行くと道端に菜の花やホトケノザが彩りを添えていた。
花の香りはしないけれど、春の匂いがする |
現場につくと冬枯れのアシの隙間にお爺さん達が座り込んで竿を出していた。調子を聞いてみると”クチボソばかりだけどタナゴが1、2匹まじるね””それでも数が釣れるから嬉しいよ”ということで、朗らかな春の釣りの模様に心が躍った
釣り座を探してフラフラしていると、ヘラ師がいたので調子を聞いてみると”昨日地震があったからか魚がいるけど食ってこない”とのこと。人間よりも自然に寄り添って生きている魚の方が自然の変化にナイーブになるのかもなと思う。個人的にはなんとなく大きい魚ほど繊細になり、小型の魚はそこまで繊細ではないと思っているが、多少今日の釣りに不安を覚えた。
ヘラ師に池の隅っこで小物釣りしても大丈夫か尋ねてみると”タナゴとか他にもやってる人いるから別にいいんじゃない?”とのことだったので、釣り座を求めて池の端を歩いてみた。池の角が水深は浅そうだがアシが張り出していて雰囲気があるので、その場所に決めた。
雰囲気しかない |
このワンドにときめかない釣り人がいるだろうか? |
”土足禁止”と書かれていたヘラ台には乗らずに、手前に椅子を置いた。俗にヤッカラと呼ばれる水中の枯れアシの周囲には小魚の平打ちが見えて、生命感が感じられる。
ここしばらくは冬の釣りだったので、釣る前から生命感を感じられることはなかったので気持ちが逸った。急かすようにあまり聞き覚えのない小鳥の囀りがそこかしこから聞こえてくる
竿に付けたウルトラベンリー。仕掛け巻きを竿に追加するアイテムだ |
まずは何も考えずに釣りができるシモリから始めることにした。
先日黄色いお店で購入したウルトラベンリーはこういう時準備が早くて助かる。直に仕掛けを巻くことで道糸を痛める可能性があるので一長一短という印象はあるが、竿を出して30秒で釣りが始められるスピーディーさは文字通り超便利である。僕のようにせっかちな人間にフィットすると思う。
僕の場合は現場での時短と粒子に水分を含ませるため、練りエサも家で水分を含ませて持って来ているので本当にすぐに釣りが始められる。
本日の仕掛け① 小物用シモリウキ仕掛け
竿:シェアーズ SOLFIESTA 小物万能竿 遊流里 15-18-21
道糸:サンヨーナイロン VALCAN タナゴ ハエ・ヤマベ 0.5号
ウキ:セリア シモリウキ
オモリ:第一精工 板オモリ
ハリス止め:自作
ハリス止め:自作
針:がまかつ 極タナゴ 極小
エサ:マルキュー タナゴグルテン
パラダイスはここに
タナが分からないのでとりあえず空針で二、三投して大体の雰囲気を掴む。手前1mは水深ほぼ1mあるなしでその先に少し掘れた場所があり、更にその先はまた浅くなっている。まずはごく手前のアシ際に大きめにエサを付けて仕掛けを打った。
仕掛けが馴染みきるより先に、瞬く間にウキが走った。アワセは乗らなかったが、魚のいるポイントに的確にエサを打てたかと内心してやったりの心持ちである。寄せるつもりで大きめのエサ付けを続けながら数投、縦横無尽といった趣で走るウキにアワセると
冬の間散々お世話になったタモロコが飛び出した |
見慣れたはずのタモロコなのに、その鮮やかさに一瞬見惚れてしまった。
本当に冬に見ていたモノクロの魚と同じ魚だろうかと思うほど鮮やかに見える。体表に滲み出る虹のグラデーションが感じられるだろうか?写真では実物の美しさが伝えきれないのが残念だ。
続いて釣れたのはお腹がパンパンのモツゴのメス |
どうしたわけか、モツゴでさえどこかいつもと違うオーラを纏っている。全体は淡い緑に尾は黄色に染まり、身体の下半分に紫を纏っている。なぜこれがメスだと分かるかと言うと
その後釣れた追い星の出た婚姻色のモツゴのオス |
鼻先に追い星を付け、全身を紫に染めつつ、その下から金が滲み出る。よく見ると目の周辺はピンク色に染まっている。こんな発色の仕方をするモツゴを実は初めて見たのでかなり心が震えた。
モツゴの婚姻色というと夏頃に釣れる黒紫に輝くいぶし銀の印象が強かったので、このような発色をすることもあるのかと、見慣れたはずの淡水魚のまだ知らない奥深さに触れた気持ちになった。
しかしこの釣り場はアタリが非常に多い。というよりも、ヘラ師がメインの釣り場であるため、小物はほとんど相手にされていないためスレていないのだろう。
おそらく大型の捕食者もいないため魚影が非常に濃い。久々にこういう無邪気に当たってくる魚の反応が楽しめる釣り場を見つけることができた。
紛れもなくここは小物釣りの楽園だ。
背中の紫から腹の緑へのグラデーションが美しい |
これは比較的に見慣れた雰囲気のタモロコ |
熱帯魚のミクロラスボラ”ブルーネオン"を渋くしたような輝きだ |
釣っていくうちにどうやら大きい個体ほど深いタナに多いことが分かってきたが、シモリ仕掛けだと全体の浮力が強いので仕掛けの沈下速度が若干遅く、狙いのタナに至る前に表層の小型の魚が食ってきてしまう傾向があると分かった。
結果はご覧の通りである。
こういう時はさっさと仕掛けを交換してしまうのが正解なのだが、テンポよく釣れている時にそのひと手間が惜しい。
対策という程ではないが、こういう時エサを気持ち大きめに付けることで途中で小魚に啄まれても針がかりさせず、底の魚に針先の出たエサを食わせる事ができる。海釣りでいうところのダンゴ釣りの要領だ。
上の写真の大きめの個体はそういう感じで狙って出した。エサ付け一つでも釣り方にバリエーションが出せるのが釣りの面白さである…などとひとりごちていると、底まで沈ませた仕掛けにモゾモゾというアタリが出た。これはひょっとしてとアワセてみるとキュキュンっと小気味いい手応え。
フナの婚姻色って聞いたことないけど…なんか色が出ているような? |
硬調の竿をしっかりとしならせて上がってきたのはコロンとした愛らしいフナであった。
御存知の通りフナは雌性発生という無性生殖の一種によって殖える魚でほとんどがメスなので、婚姻色というものはあまりないと思うのだが、どうも今釣れたこのフナは肩に紫が乗っているような気がする。
光線の加減なのかもしれないが、とても可憐に見える可愛らしい姿である。
手のひらサイズのフナなんてどれだけ釣れても嬉しいものである。底を意識して狙ってみたらもう一匹釣れた。
やはりほんのり色づいているような…? |
妙な例えだが、素人なりに小物釣りは"賑わいを作る"のが大事だと思っている。
はじめはアタリが乏しくても、同じポイントに何度も餌を付けて投入することで魚が寄ってくる状況を作り、魚の摂餌スイッチを入れて警戒心を下げる事が大事で、小魚で賑わってくると徐々にそこそこの大きさの魚も寄ってくるようになる。
"場所を育てる"という言い方でも良いかもしれない。そうやって釣りをしながら魚を寄せて集まってきた魚を釣り上げるのが数を伸ばすコツである。
勿論その釣り場のポテンシャル次第ではあるのだけれど、同じ釣り座で一方向ばかり狙った後に違う方向を狙うと、アレだけ当たっていたウキがうんともすんとも言わなくなる経験を何度もしているので、そういう戦略がハマる時が必ずあると思う。
一つ所に留まる魚だけでなく回遊している魚もいると思うが、回遊中に"ん?なんか賑わってるな?"と魚側が気付くポイントを用意しておくのは釣りには大事な要素だ。ヘラブナ釣りでもタナゴ釣りでもエサ使って魚を集める手法があるので、淡水の釣りでは共通して通じる手段だと思う。
今回のフナなんかはまさにそういった感じで釣り上げた魚だ。
あっという間にぎゅうぎゅうになったので一度目のリリース |
竿を替えてみる
ここで竿を2.4mのものに替えてもう少し手広い範囲を探ってみることにした。仕掛けはまたもやシモリ仕掛けだけれど、オモリが重めのため前の仕掛けよりも沈下速度が早い。つまり底を狙い撃つ釣り方に変えてみたわけだ
狙った通り、底の方に居座っているフナや気持ち大きめの個体を選んで釣れた。
釣りは自分がこうじゃないかと立てた仮説を実証していく過程が楽しいと思うのだが、こうやって思った通りの結果が出ると喜びもひとしおだ。
釣り方が変わると慣れるまで若干難しさは感じるが、この日のように魚がスレていなくて食いが立っている時は面白いように釣れる。人差し指の先くらいの餌で十匹以上釣れていれば個人的には御の字であり、この釣果は実際満足感があった。
どの魚も美しく、何故か無性に胸を打つ 春だからおセンチ(死語)になっているのかもしれない。日常の隣にあるセンチメンタル・ジャーニーである。
最後の最後に釣れたこの日一番の引きを楽しませてくれたフナ。小さい竿を思いっきりしならせるファイトはまさに最高の一言だった
釣りが楽しくて時間があっという間に過ぎていく。遠くで時報を知らせるサイレンが鳴っている。自然の中に身を置いて誰にも邪魔されずに集中して魚たちと呼吸を合わせながら釣りをする。久々にこういう没入するような釣りができて幸せだと感じる。
タナゴ竿でもやってみた
最後はヘラ台に乗ってタナゴ竿でやってみようと思い、靴を脱いで準備をした。
本日の仕掛け② 連動シモリ 淡水小物汎用仕掛け
竿:ダイワ ひなた4尺
道糸:サンヨーナイロン タナゴヤマベ0.3号
ウキ:オーナー タナゴウキ極小
糸ウキ:まるふじ ジンタン目印
オモリ:第一精工 板オモリ
ハリス止め:自作
ハリス:オーナー タナゴハリス
ハリス止め:自作
ハリス:オーナー タナゴハリス
針:がまかつ 極タナゴ 極小
エサ:マルキュー タナゴグルテン
短竿に持ち替えると自然狙う層が表層になるので釣りが変わる。
これまではあえて若干アワセを遅めにしていたが、ここからは繊細なアタリに緻密にアワセを入れていくマイクロな釣りの世界だ。ここまでの釣りで浅い層には小さい個体が多いのは掴んでいるので、本当に小さな針先で小さな魚を掛けに行く釣りとなる
ここからは数釣りの世界だ、なるべく魚を傷めないようにカエシを潰した極タナゴで挑むことにした。
マイクロな縦の釣りでは針先にのみ餌を乗せることが何よりも肝心になる。ここまでやってきた釣りとは異なり、余分な餌は余計なアタリを誘発するためむしろ邪魔になってしまうのだ。アタリが頻発するのに乗らない時、針先が鈍っているか餌が大きすぎるかを疑うと良い。
本当に活性が高いようで、ウキが馴染む前にアタリが出るので少し慌ただしい釣りになってしまうが、糸ウキに現れる小さなアタリを丁寧に拾って行くとキビキビとした手応えが伝わってくる。これは繊細な竿ならではの魅力であり、先程までの竿では感じ取れなかった世界である。
実は僕はそんなに釣り道具、特に竿には拘らない方なのだがこの竿でクチボソやタナゴ、フナなどを釣るようになってから少し考え方が変わった。
それぞれの魚の引きの違いが繊細な穂先を通じて感じ取れるようになったのだ。それは経験しなければ分からない世界で、一度でも経験すると病みつきになってしまう。
ただ魚を採るだけならば網やビンドウの方が採れる。ただ魚を釣るだけなら頑丈な竿で十分だ。でも小さな魚の命の躍動を感じるためには、タナゴ竿のような繊細な竿は必要なのだと最近は思っている。
ひなた4尺、いい竿です(インプレはこちらからどうぞ)
あっという間にモロコとモツゴでいっぱいに… |
釣り方が変わると慣れるまで若干難しさは感じるが、この日のように魚がスレていなくて食いが立っている時は面白いように釣れる。人差し指の先くらいの餌で十匹以上釣れていれば個人的には御の字であり、この釣果は実際満足感があった。
最後に、この短竿の届くギリギリの範囲が丁度少し水深が深くなっていたことを思い出して、残った餌を使い切るために底釣りを試してみた。1m下のカケアガリを意識してウキ下を調節して仕掛けを振り込んでみた。
底釣りになると自然と魚のサイズが上がるので釣趣が出てやり取りが楽しくなる
こういう品のない横走りはクチボソの皆さんの得意技だが、活性が高い釣り場だとこの有様である。品はないが、小さな魚の精一杯の生命力を感じられてどこか微笑ましくもある。
こんなにきれいなモツゴがいていいのか? |
たまらないモツゴが次々に釣れる… |
あらゆる角度で美しい… |
フナと書いて初恋と読むのかもしれない… |
どの魚も美しく、何故か無性に胸を打つ 春だからおセンチ(死語)になっているのかもしれない。日常の隣にあるセンチメンタル・ジャーニーである。
最後の最後に釣れたこの日一番の引きを楽しませてくれたフナ。小さい竿を思いっきりしならせるファイトはまさに最高の一言だった
風のない薄曇り、魚のコンディションが良く数も出る、色々と偶然が重ならないとこういう釣りにはならないし、そのタイミングには一年で何度も出会えるものではない。
本当に今日この場所に来れてよかったと思う。心に深い充足を感じながら家路についた。
ありがとうパラダイス
本日の釣果
フナ 約10匹
クチボソ 約60匹
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