今回は川村光太郎氏考案のスナッグレスネコリグの要であるN・S・Sフックに似た針を自作してみたという記事です
実際自分で作ってみると改めてN・S・Sフックの良さや工夫がよく分かりました
枕
最近の僕のバス釣りで主力になっているスナッグレスネコリグ
その根がかり回避力の高さに惹かれて最近のカバー打ちはこの仕掛けばかり投げています
というのも、僕が主にバスを狙っている場所は河川の岸際で、下草が枯れる冬以外は舗装されている歩道から約2m下の岸際のカバー越しに足元を探る釣りをメインに行っています
カバーばかりで流芯を攻めきれていないわけですが、上記のメインポイントではオフセットフックのワーミング以外では回収時に足元のカバーに引っかかるリスクが高いので正直あまり他のルアーを投げたくないというのが本音です
そんなこともあって、僕の現在の釣りスタイルにピッタリハマるスナッグレスネコリグを覚えてからはこれ一辺倒になってしまいました
バス釣りをする方ならネコリグの威力はご存知かとは思いますが、魚の目の前にリグを落とせさえすればかなりオートマチックに釣れてしまう強力なリグであり、ルアー釣りというよりはエサ釣りの感覚に近いのであまり好まない方もいる釣り方です
僕はとりあえず釣れれば嬉しいのでこの釣り方が好きです
スナッグレスネコリグとは
通常のネコリグに必要な道具は
・ワーム
・ネイルシンカー
・マス針
の3つです
シリコンリングを利用したネコリグ |
ネコリグの強みはアクションのナチュラルさと大きさとを併せ持つところだと思うのですが、針が剥き出しであるため根がかりやカバーにスタックするリスクがあり、釣れるけどカバーを本気で攻めるにはテキサスリグの方が向いているというのが従来の認識だったと思います
スナッグレスネコリグ |
川村氏が考案したスナッグレスネコリグは、針先をワームの中に埋め込むことで根がかりやスタックをかなり回避できるようになっています
おそらく川村氏も初めのうちは通常の針を使っていたのだと思いますが、徐々にワームのズレを抑制するためのガードを搭載したフックを用いるようになり、現在はその加工が施された川村氏開発のカバーネコリグ専用の針がハヤブサによってN・S・Sフックとして商品化されています
FINA N・S・Sフック |
この針の存在を知ってからはもっぱらこの針を使っています。刺さりも良好でワームの固定力も高く、さすがに専用設計の針は違うなぁと思っているのですが、いかに“スナッグレス“なリグといえども調子に乗って濃いめのカバーをガンガン攻めるとどうしても枝や茂みにワームや針がスタックしてしまうことがありました
(他のリグでは攻めきれないようなカバーを攻めることこそがスナッグレスネコリグの価値ともいえるので、ある程度は仕方のないことだとは思いますが…)
何回もスタックを繰り返して、徐々にスタックさせないコツのようなものも分かってきたのですが、それでもやはりある程度のスタックは避けられず、必要な出費…と思いながら新しい針に手を伸ばした時に、ふと”この針の構造を自分で作れたりしないだろうか?”と思いました
試しにネットで検索してみると実際自作している方がいて、その作り方を見てみたら思いの外簡単そうだったので試してみようと思い立ちました
作成編
NSSフックはワッキー用のマス針のシャンクにワーム固定用のフロロカーボンラインをユニスレッドで巻き付けて留めてある構造で、図解すると以下の通り
ワームを固定するこのフロロの突起の大きさと位置が絶妙で、ワームの中に残っても外に出してもしっかりとワームの位置をキープしてくれます
また針の構造も同サイズの他のワッキー用のフックよりもフトコロが深くなっているのが特徴で、さらに気持ち針先が外を向くオープンゲイプ気味で、ワームの中にしっかりとフックポイントが残るように針先がやや長く、またワームから抜けないようにカエシがしっかり立っているという特徴があります
自作をするにあたってまずはこの針と同じ形の針を探すところから始めました
一応ネット上ではがまかつのワーム329フックとダイワのバサーズフックSSのワッキータイプがこれに近い形ではないかと言われていましたが、どちらの商品もECショップでは品薄、あってもほとんど転売価格ばかりで買う気がしなかったので実店舗を回ってNSSと見比べながら似たような針を買い集めてみました
色々買ってみました |
実際に並べて見比べてみるとこんな感じ
左上がNSSフック |
正直どの針もびみょーに似てるようで似てないですね…上段は買う時はそれなりに似ていると思ったのですが、改めて見てみると全然違う形です
下段の同じFINAから出ているパワーワッキーは素材やカエシの感じは似ていますが、フトコロがかなり浅い感じ。がまかつのハンガー FC-Lは針先がやや短くカエシもあまり立っていませんが形自体は近い雰囲気です
っていうか上の画像の号数を見てもらえば分かると思いますが、各メーカーによって番手によるサイズがまちまちすぎて全然参考になりません
誰のために何の基準で付けてる番手かは分かりませんが、業界で規格統一してほしいですね…
ともあれ、まずはがまかつのハンガーFC-L #2をNSSフック#1/0もどきを作る材料にすることにしました
材料
・がまかつ セオライズ ハンガー FC-L #2
・ティムコ ユニスレッド 6/0
・メジャークラフト 弾丸フロロショックリーダー 10号
必要な道具は…
・マイクロラジオペンチ
・タイイングバイス
・ボビンホルダー
・ハサミ
・アロンアルファ ソフト 低白化
・ウィップフィニッシャー(なくても良い)
・ライター(なくても良い)
作成
ということで材料が揃ったら早速作ってみましょう。作成の流れを文字で説明すると
①針を開いてオープンゲイプ気味にする
②スレッドで下巻きを巻く
③二つ折りにしたフロロラインをスレッドで巻きつける
④フィニッシャーで結ぶ(結ばなくてもいい)
⑤スレッドに瞬間接着剤を含ませる程度に流し込む
⑥固まったら全体を一瞬ライターで炙って毛羽立ちを焼く(しなくてもいい)
といった流れになります。以下にひとつずつ画像を交えて説明します
①針を開いてオープンゲイプ気味にする
左からNSS、無加工FC-L、加工済みFC-L |
最初からでなんですが、ここの工程が正直一番めんどくさいです
針先の根本をラジオペンチでつまんでNSSフックの形に近くなるように開きます。このオープンゲイプな形状がNSSフックの肝でもあるので丁寧にやりましょう
注意点はカエシを潰さないこと。そのため普通のラジオペンチよりもマイクロラジオペンチが向いています
自分では試してませんが、おそらくラジペンよりも細いステンレスパイプ等に針先を入れて開くほうが針先にダメージを与えないんじゃないかと思います
②スレッドで下巻きを巻く
まずバイスに針を固定して下巻きを巻きます |
一番下まで巻いたら端糸を切ります |
これはスレッドとフロロラインを固定するための土台を作る作業です。最初に上から下に向かって3回、次に下から上に最初に巻いた糸の上から巻いてスレッドを固定します。あとは特に難しく考えずにくるくる下に向かって巻きましょう
巻き始めの位置はまずは本家のNSSフックを参考にして同じくらいの位置で巻いてみると良いと思います
巻き始めの位置がワームキーパーであるフロロラインの出る高さになるため、たとえばワームを外から固定したい場合は巻き初めの位置を下の方にずらすなど工夫するといいでしょう
③二つ折りにしたフロロラインをスレッドで巻きつける
下巻きの長さと同じくらいにカット |
二つ折りにしたフロロラインを用意して、針に巻き付けます
二つ折りのフロロを針を挟んでまたぐ感じに配置して、針の内側にフロロの端糸があるような配置でスレッドを巻き付けます
折り返し部分の長さは本家を参考にしていますが、工夫して色々な長さを試してみるのも一興かもしれません
注意点としてフロロの切断面側の角と下巻きの間に必ず段差が生じます。この段差を残しておくとワームに針を刺す時に引っかかるので、スレッドを多めに巻きつけて段差を埋めておくと良いと思います
④フィニッシャーで結ぶ(結ばなくてもいい)
フィニッシャーをお持ちの方は下端で結んでスレッドを切ります
結ばなくても最後に瞬間接着剤で固めるので問題はないと思います。その場合は糸は切らずに垂らしたままにしておいて、瞬着が固まった後にスレッドを切りましょう
⑤スレッドに瞬間接着剤を含ませる程度に流し込む
接着剤が多いと固まりにくくなるので含ませる程度でOKです |
裏面も忘れずに瞬着を塗っておきましょう |
最後にスレッドの毛羽立ちをライターで一瞬だけ炙って落とすとより本物に近い見た目になります。…が、釣果には影響しない部分なので気になる人だけやるといいでしょう
一番左がNSSフック、右3個がもどき |
といった感じの工程でNSSフックもどきが作れます
自作で気になるのはコスパですが、NSSフック#1/0は5本入りで定価440円、ハンガーFC-L#2は7本入りで定価350円なので、1本あたりだと88円と50円で38円の差があります
材料費だけなら1本あたり5円もかかってないと思うのでそれなりにお得感はあるかな…?
ただし、このためだけにバイスやらボビンホルダーやらを揃えると元を取るまでに100本以上使わないといけなくなるので全くお得ではありません
本当の意味でコスパを気にする方は大人しく本家NSSフックを買うほうが良いと思います
ただ自分で作ってみることで色々本家の構造について思い至るところがあったりしてその過程を楽しめるような方にはオススメできます
またお気に入りの針でNSSフックと同じ機能を持たせてスナッグレスネコリグをやってみたいという方にもオススメできます
(僕の場合は今後毛鉤釣りをやる予定があるので、タイイングツールはついでの購入ということであまりコスパは気にしていません)
本家と自作との違い
この記事の冒頭でNSSフックの特徴として
・他のワッキー用のフックよりもフトコロが深くなっている
・針先が気持ち外を向くオープンゲイプになっている
・フックポイントがしっかりワーム内にとどまるように針先がやや長い
・ワームから抜けないようにカエシがしっかり立っている
といったものを挙げました。
自作で再現できるのはシャンク側のワームキーバーとオープンゲイプの部分だけで、あとは針の基本設計からして異なるので残念ながら完全再現はできません(形がより似ている針が見つかればほぼ同じものは作れると思いますが)
上の画像を見れば一目瞭然ですが、NSSフックは針先が他のワッキー用のマス針よりも2~3mm長くなっています
この針先のほんの少しの長さの違いが肝になっているようで、ワームに刺すと長さの分針先側のワームキープ力が強くなります
実際に自作のもどきフックを使ってみて、見た目はそこまで変わらないのに針先側のワームキープ力があまりにも違うので驚いた部分であり、NSSフックはよくよく考えられて作られているなあ…と感心した点でもあります
では自作では使い物にならないのか?というとそんなことはなく、最初にワームに刺す時に気持ち角度を付けて刺すだけでこの問題は大体解消できます
上NSSフック/下もどきフック |
ほんのすこし角度を付けるだけで格段に抜けにくくなるので自作した方は是非試してみてください
実釣
さて一番肝心な釣果に差はあるのかという点ですが、申し訳ないのですが僕自身があまりバス釣りが上手ではないのでまだ数を比較できるほど釣れていないのが現状です
ただ最近久々にバスを釣った時は自作もどきフックでちゃんと釣れたのでそこまで遜色はないのではないかなと思っています
良いところにばっちりフッキング! |
ちゃんと釣れますよ!(ワームの力ともいう) |
とりあえず釣れることがわかっただけでも大きな進歩です!今後も使いながら改善点を模索して、気がついたことがあれば更新していきたいと思います
以上、自作NSSフックもどきの作り方でした!
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