釣り好きオジサンのパックロッド片手の電車釣行&地元の川釣り blog

2021/05/31

講座:ミミズの飼育、養殖について

 というタイトルまんまの記事です


実は釣具屋で売ってる熊太郎などのシマミミズはお家でも飼育、養殖できるんですよ



1.ミミズあれこれ

釣具屋で売ってるミミズってグレーのポロポロしたものと一緒に入ってるじゃないですか。

実はアレ、ペーパースラッジという紙にならない程細かい紙の繊維クズや、コットンリンターという繊維にならない細かい綿の繊維クズなんだそうで、これらの繊維の業者が繊維クズをエサ兼住処にしてシマミミズを養殖しているそうなんです。

家庭でこれを再現できればシマミミズを飼うことができるわけですが、調べてみると色々と参考になるサイトがありますのでいくつかリンクを貼っておきます



ジャーニートゥフォーエバー:ミミズコンポスト

(海外のミミズコンポストについての知見を得られるNPOのサイトです。原著論文へのリンク有り)



ミミズコンポスト管理局

(東京農工大学のミミズコンポスト研究サイトです)




ミミズコンポストと聞いて”なにそれ?”と思う方もいるかもしれませんが、有機農法の一種でミミズに生ゴミを与えて育てた土(ミミズ堆肥)を利用して野菜を育てる方法があります。

これ、先進国でも大昔から流行っていて近年リバイバル的に注目されている農法だったりするのですが、要するにこの方法を利用してミミズを飼育、あわよくば増やしてしまおうというのが今回の論旨です(ついでにミミズ堆肥もできます)

※最近ミミズ養殖をサイドビジネスでやろうとする輩が結構いて、ネット上はある種魔境状態なのでマトモなサイト意外はあんまり信用しないほうが良いと思います。不景気って嫌ですね(笑)


で、僕も色々調べてみたのですが、釣具屋で売っているミミズは大別して二種(生物学的分類ではありません)で、いわゆるドバミミズとシマミミズになります。

お高くぶっといことでお馴染みの”大関”というのがドバミミズで、それ意外は基本的にはシマミミズのはずです

ドバミミズは正確にはフトミミズ科と呼ばれるミミズの種類の一種で、実はミミズは日本国内だけで500種類以上いて、その95%をフトミミズ科が締めているそうです。一方でシマミミズはツリミミズ科に属するミミズで、これまた日本中にいます。


フトミミズはシマミミズよりも腐植質寄りの食性があるため、シマミミズよりも飼育難易度が高いようです(養殖に挑戦してる方もいらっしゃいます)。一方シマミミズはミミズコンポストに利用されるくらい野菜くずなどの生ゴミを喜んで食べてくれるので家庭でも比較的に飼育しやすい種類といえるでしょう。

より詳しくミミズの生態や分類を知りたい方には全国農村教育協会が出版しているミミズ図鑑が詳細でオススメです

釣り餌としてのポテンシャルについては、釣具屋で売ってるくらいですからバーサタイルになんでも釣れます。ウナギについてはドバミミズが一番釣れるという人もいますが、シマミミズでも普通に釣れるのでそこまで気にしなくてもいいかなと思ってます(ウナギ釣り師は特にコダワリが強い人が多いので、話半分くらいに聞くスタンスです

あえて言うならば、太いミミズは小さい外道をある程度弾いてくれるので、口の大きい魚や大物釣りに向いているというのはあるかもしれません


以下に、僕が約2年シマミミズを釣り餌として飼育&養殖した経験から書けることをまとめていきたいと思います


2.シマミミズの飼育に必要なもの

シマミミズの飼育に必要なものは4点
  • 底から水が抜ける蓋のできる容器
  • 用土
  • エサ
  • ミミズ

順番に見ていきましょう


1)底から水が抜ける蓋のできる容器

と、言われてすぐ想像できるなにかがある人はそれを使ってみてください。

ポイントは

①ミミズが逃げ出さない程度の大きさの穴が空いていて水が抜けること

②外部から他の昆虫(ショウジョウバエやミズアブなど)が侵入しないように蓋ができること


海外製のミミズコンポストを見ると底がザル状になっていて段構造になっているプラスチック製のものが多く、国内でもミミズコンポスト専用容器やEM堆肥(笑)を作るためのバケツ型コンポスト容器(底に蛇口が付いていて水分が抜ける)を利用している方もいます。

僕はといえば、ダイソーで買った小型の衣装ケースの底にと蓋に穴を開け、底穴は不織布で養生して使っています

こんなやつです 300円だったかな?

熱した釘で穴を開けました

園芸用の鉢底石を入れる袋を切って穴を養生してます(ミミズが逃げないようにする)

僕のケースだと穴の数が足りないのか若干水はけが悪い気がしますので、もっと派手に穴を開けても良い気がします。ミミズが生活するには湿り気は必要ですが、ビシャビシャだと溺れてしまうので想像以上に通気性が大事だと思います。


2)用土

腐葉土やペーパースラッジを用意する方法もありますが、園芸用のココヤシの繊維を利用するのが一番衛生的かつ手っ取り早いです。

これまたダイソーで売ってます。なんでも売ってるな…

バケツに水と一緒に漬けておくと水を吸って…

このくらいの量になります

注意点は、水を吸ってもバラけない塊が結構あるので、それは個別に避けて更に水を吸わせて全部手で揉みほぐしてバラバラにすることです。塊のまま容器にいると半年経っても容器の中でバラけることはなく、そのスペースが無駄になります。ちなみに園芸コーナーに2リットルくらいで100円で最初からバラけているココヤシ繊維(パーム用土なんて名前かも?)もあるので、お金に余裕がある人はそちらを選んだほうが手間は減ります。とはいえ水でふやかすの結構面白いので一度はやってみてください


3)エサ

上記参考サイト:ジャーニートゥフォーエバーからの引用になりますが

”プラスチックの包装紙や袋・アルミホイル・サランラップなどはミミズ箱に入れない。ミミズが好きなのは野菜クズや果物の皮や芯、コーヒーかす(フィルターの紙も入れてOK)、ティーバック(小さいホチキスの芯は取る)、卵の殻(乾かして砕いてから。面倒だったら片手でクシャっとつぶすだけでも)、古くなったパン、鉢植えから切り取った葉や茎などなど。大きなものは細かく切ってあげる。柑橘類やタマネギ、ニンニクなど酸や刺激臭のキツイ物は加えない方が良いとアドバイスする人もいる。ちょびっとだけあげてみて、大丈夫そうだったらOK。植物性でも油は止める。よっぽど自信がない限り乳製品や肉や魚は加えない方が良い(悪臭の元)。汁物や大量の調理済み食品も止めた方がよいかも。

ジャーニートゥフォーエバー:生ゴミのエサの与え方(最終閲覧日:2021年5月31日)

http://journeytoforever.org/jp/compost_worm.html

2年飼ってみて思いますが大体この記述通りのことを守っていれば特に問題はなかったです。ポイントは植物質のものだけにすること、柑橘類の皮は入れないこと(油分のリモネンが有害だそうです)農薬を使ってそうなもの(輸入果物類)を入れないこと、また三角コーナーなどに入れて水浸しになったものは少し干してから与えることが大事だと思います(水気が多いとミミズが食べるより先に腐敗しやすくなるため)

具体的にはジャガイモや人参、大根の皮、胡瓜のヘタ、キャベツの芯や様々な果物の皮、コーヒー殻、お茶殻などを与えました。ミミズは特にウリの類が好きなようで、メロンの皮やスイカの皮は特に食いが良い(あっという間に外皮しかなくなる)ので夏に機会があったら入れてあげましょう。また後述しますが、カラー印刷のない新聞紙も用土の表面に入れますが、これもエサとして食べてしまいます。ジャガイモの芽やキャベツの芯、大根のヘタ、スイカの種などは成長点が残っていると箱の中で芽出しすることもあるので気を付けましょう(用土が水っぽくなります)



4)ミミズ

初期投資として釣具屋で二箱くらい買って入れてもいいですし、釣りの度に余ったものを箱に入れても良いと思います。お好みでどうぞ

ただ、売ってるミミズの最初に入れた世代は次の世代を残してわりと早く亡くなる傾向がある気がしますのであまり最初から増やそうと躍起にならないほうが良いかもしれません。


3.具体的な飼育方法

基本的には容器と用土を用意したらそこにミミズを放って、エサをあげていれば勝手に増えてくれます。
ミミズは高温を嫌う(25℃が適温だそうです)ため直射日光が当たらない、できれば一日中日陰になる北向きの場所に置いておくと良いと思います。雨が当たらない場所ならよりgoodでしょう。また箱を地面に直置きしないで適当な木材やブロックで高床にしておくと、ミミズ箱の裏に有象無象の虫の皆さんが寄ってこないのでオススメです。
エサは完全に土に埋めることが一番大事なポイントで、地表にエサが露出しているとそこにウジが湧きます。ウジも釣り餌として消費してしまえばいいわけですが、ミミズよりも大分ビジュアルがキツイので、できれば沸かないようにしたほうがよいでしょう(人によるか?)
エサのやり方としては、四角い容器なら四つ角に1箇所ずつ順番にエサを入れてローテーションしていくと一周する頃には前のエサが分解されているので効率的かと思います。
エサの頻度は僕は多くても週3回程度あげてました。本格的なコンポストだと毎日あげても大丈夫なようです。
エサの頻度を増やすとミミズの成長サイクルが早まるため夢の爆殖モードになるかもしれません。なお、用土のパーム繊維もエサになりますので、一生懸命エサをやらなくても活かし続けることはできます。
また、用土の一番上にはカラーページのない新聞紙を敷いて蓋をします。(カラーインクが有害になる可能性があるため白黒ページを使ってください)この新聞紙の乾き具合で湿り気を見て、新聞紙がカラカラなら霧吹きで土に水分を補給しましょう。新聞もある程度経つと食べられてしまうので都度用土に混ぜ込んで、新しい新聞と交換してください。

新聞紙で用土との隙間を埋めることが他の虫を入らせないコツです

当然ながら、ミミズもエサを食べたら糞尿をするのですが、この糞尿がミミズ堆肥になります。ただし、ミミズ自身にとってこの堆肥はあまり良い生活環境ではないそうです。そのため2~3週間に1度土の上からたっぷりと水をかけて底から水を排出して内部のし尿成分を外に出すといいそうです。
このミミズ堆肥水はそこらの化成肥料よりも抜群に植物に良い影響を与えるので、お家で花や野菜を育てている方は是非バケツの上で箱の水抜きをして、薄めたものを撒いてみてください。

4.収穫

ミミズを収穫するタイミングについて。コンポストは大体4ヶ月に1回更新するのが目安になるそうです。その時に収穫してもよし、釣りに行く度に必要な数だけ容器を掘って捕まえるもよしで好きなようにしていいのですが、長期間飼育していると愛着が湧いてきてしまうので僕は適度に釣りエサとして使うようにしています。
収穫方法は、バケツを2つと園芸マットや養生シートなどのシートを用意し、シートの上に土をひっくり返して、山の表面を移植ゴテなどでさらっていきます。ミミズは光を嫌って暗い中心部にどんどん集まっていくので、表面の土を片方のバケツに、目についたミミズをもう片方のバケツに入れていきましょう。そうやって徐々に山を削っていって、最後の一番下層にたどり着くと夢のミミズ天国が待っています。
このミミズを釣り餌に使うもよし、新しく用意した容器と用土にまとめて移して次の世代に繋ぐもよし。容器を増やして増産体制に入るもよしです。



シートの上にひっくり返して

表面の土をさらっていくと…

最後にミミズ天国にたどり着きます!エルドラド!

5.懸念されること

僕の経験では生ゴミが腐敗したことはないのですが、場合によっては腐敗して匂いがする可能性がありますので、その場合はエサを投入するのを一度止めて様子を見る、土が湿りすぎていないか確認する(箱の底穴が目詰まりして水分が滞り、嫌気的な環境になる可能性があります)
ウジが大量発生した場合、ウジは特に水っぽい糞をするため箱の中の水分が滞ることがあるそうです。その場合はウジを取り除くのが一番手っ取り早いのですが……まあ発生しないように、しっかりとエサを土に埋め、新聞紙で多い、蓋をしっかり締めましょう。
アリなど他の虫が入ってくることもあります。アリが巣を作るとミミズに悪影響があるので巣は排除しましょう。有象無象の虫は色々発生することがありますが、さほど影響はないと思います。
コウガイビルなどミミズを捕食する可能性のある生き物には侵入されないようにしましょう(とにかくしっかり蓋をするのが大事です


6.で、どのくらい殖えるの?

皆さんが一番気になるポイントはここだと思います。結論から言うと1箱のミミズコンポストではそこまで爆発的に殖えることはなかったです。
普通のエサミミズ箱1箱分くらいを入れて、大体3ヶ月後に3~4箱分くらい殖えるイメージでしょうか。
小物釣りに使う分には十分すぎるくらいですが、ウナギ釣りに使うには若干心もとない感じですね。
ただこれは僕がズボラな管理(週1回しかエサをやらない、し尿を水抜きしない)などの良くない管理をしているからという可能性は結構あって、大真面目にミミズに向き合えば確実に殖えるだろうなという感触は持っています(特に用土を交換して一月くらいはすごい勢いでミミズが殖えます)
大量に使いたい人はコンポスト容器の容量を大きくするか、複数で飼育するなどすれば安定供給が見込めるでしょう

とはいえ、物は考えようで、釣りに使って余ったミミズを川に投げ捨てたり(やめましょう)、冷蔵庫で逃走の危険性に怯えながら管理(地獄を見た人もいるでしょう。僕はあります)するよりは”余ったら箱に入れておけばいいや”と思えるのは結構気持ち的に楽で、また、「あ、釣り行こ…」と急に思い立った時、わざわざ釣具屋に寄らずとも、「うちにはミミズがいるもんね~」と余裕が持てるのも釣りキチ的には嬉しかったりします。

なお、副産物として生まれるミミズ堆肥で育てると植物は非常にイキイキとして、化成肥料なんかいらないな…と思わされること請け合いですので、園芸に興味がある人には特にオススメだったりします


左が新品のパーム繊維、右が半年もののミミズ堆肥。元の1.5倍くらいの量になります





問題は、ミミズにだんだん愛着が湧いてきてしまうことです。

ミミズの卵塊に愛を感じるように…

飼っているとどうしても可愛く感じてしまうのですよね…先述した通り、エサにも好みがあったりしてスーパーで見切り品のメロンを見かけると、”ミミズに買っていってやるか…”
と思ったりするようになるので、我ながら愛のチカラは恐ろしいです



そんなわけで僕が2年ミミズを飼育した記録からコツやポイントなどをまとめてみました。
生ゴミが減らせて、ペットにもなって、釣り餌にもなって、堆肥も作れる。良いことづくめのミミズ飼育、あなたもやってみませんか?

0 comments:

コメントを投稿